VIFFレビュー観たよ!:「Blue Heron」(ソフィー・ロムヴァリ監督)

シネマレビュー 「Blue Heron」(Sophy Romvari監督)

BC州出身の監督が描く、記憶の断片をつなぎ語る、家族の物語  

Blue Heron (Sophy Romvari監督 ) Courtesy of VIFF

 今年のバンクーバー国際映画祭(VIFF)でも、世界各国からの作品と共に、カナダの新進監督たちの作品が多く上映されました。今回ご紹介する、カナダ・ハンガリー合作の映画『Blue Heron』は、BC州、ヴィクトリア出身のソフィー・ロムヴァリ監督による長編デビュー作であり、自身の幼少期を基にした半自伝的な作品です。

 この作品は、家族のもろさや複雑な感情を、静かな語り口で繊細に表現しています。日常のひとコマが、記憶の断片として紡がれていく映像には全般に悲しみが漂い、数年前の映画「アフターサン」(シャーロット・ウェルズ監督)を思い起させるような余韻があります。

 なかでも心に残るのは、家族そろってビーチへ泳ぎに行くシーンです。波の音とともに映し出される幸せそうな家族の姿は、過ぎ去った日々の記憶を呼び起こした際の心の揺れを映し出します。また、ジェレミーの思いがけない行動によって家族の緊張が高まるシーンでは、彼を大切に思うがゆえの家族の戸惑いや悲しみが、静かに、しかし鋭く胸に迫ります。両親の葛藤や悲しみ、それを目の当たりにして戸惑う幼いサーシャの心の動きが、日々の思い出を通じて痛いほど伝わってきました。

 物語の終盤に登場する、兄が描いた手書きの地図の数々と、サーシャが兄の友人から受け取るメッセージは、監督自身の実体験に基づいたものだそうです。子ども時代のサーシャと大人になったサーシャの視点が交錯する構成が少しわかりづらい部分もありましたが、監督の体験がベースになっていると知って、自分自身の記憶との折り合いをつけた感じなのかな、と納得しました。

 余談ですが、ジェレミー役のEdik Beddoes君はなんと、ストリートキャスティングでプロの俳優さんではないとの事!あの雰囲気があまりにもジェレミーにピッタリだったので驚きました。

 愛する家族の心を、理解したくても理解できないという切なさが深く心に残り、観終わった後もしばらく考えさせられる作品です。

「Blue Heron 」Sophy Romvari 監督Courtesy of VIFF

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