バンクーバー国際映画祭で「AKASHIあかし」上映 吉田真由美監督インタビュー

吉田真由美監督の「AKASHIあかし」、VIFFで上映

選択、迷い、そして見つける本当に大切なもの

AKASHI / Courtesy of Musubi Arts

バンクーバー国際映画祭(VIFF)で10月5日と9日、吉田真由美監督の「AKASHIあかし」がワールドプレミア上映される。

2019年にカナダ国内外の映画祭で上映され、多数の賞を受賞した同名の短編を原案に制作された本作。「短編のすぐ後から長編に向けて動き始めたので、やっとこの日を迎えられたという思いがあります」と話す吉田監督。「自分が住んでいるバンクーバーで、共に制作に携わった仲間たちとプレミア上映を迎えられることが本当に嬉しいです。感謝しかありません」と笑顔も。

長編の脚本を書き始めた2018年から7年かけて完成したが、大きな壁にぶつかったこともあった。作品の主要言語が日本語であっため、Telefilm Canada(カナダ政府の映画支援機関)の資金支援の対象外とされたことである。これに対し、吉田監督とチームは300人以上の署名を集め、積極的に声を上げて制度の見直しを求めた。その結果、Telefilm Canada は言語による制限を撤廃し、「AKASHI」も資金提供の対象となった。

作品の大部分を日本で撮影。資金調達や複雑な手続きなど決して簡単な道ではなかったが、吉田監督は「日本のシーンは日本で撮影すること、日本人のキャストやスタッフも起用して、日本とカナダのチームで制作することは、この映画を作る上でとても大切なことでした」と、物語の真実性へのこだわりを話す。                                                                                                                                                                             

AKASHI/ photo by Peter Planta

日本での撮影はわずか12日間という限られた時間の中で行われた。ロケ地には、(映画「万引き家族」の撮影地としても知られる)ジョイフル三の輪商店街などが使われた。「ヒロ役の田島亮さんと撮影前から商店街を訪れたり、役者さんたちとカラオケのシーンのバーに行ったりするなど、限られた時間の中で役に入り込むための準備に力を入れました」と振り返る。家族や友人がいる街を舞台に描かれる物語は、現代を舞台にしながらも、なつかしさを感じさせる美しい映像で彩られている。モノクロを基調とした映像はカナの静かな葛藤を映し出し、色鮮やかなシーンでは色彩が命を吹き込むように描かれる。

物語の主人公・カナは、夢と家族の期待との間で葛藤する女性。彼女の姿には、カナダでこの映画を観る日本人観客も共感を覚えるだろう。「カナのように、帰国した時に自分の居場所がないと感じたことがある人もいると思います。でもそれは、海外で頑張ってきたからこそ、海外に自分の居場所ができたということなのかもしれません。」

本作は選択、アイデンティティ、そして二つの世界の狭間で揺れる心の複雑さを描いている。「もし人生で違う選択をしていたら―」という問いかけが、観る者に深い余韻を残すだろう。吉田監督は「選んだ結果に後悔することもあるかも知れない。それでも選ぶことを恐れず、前に進んでほしい。そんなメッセージをこの作品で伝えられたら」と期待する。

10月5日6:00 pm  会場Vancouver Playhouse

10月9日3:00 pm 会場 Granville Island Stage

チケットの購入、詳細はVIFF公式サイトを参照のこと。

バンクーバー国際映画祭VIFF「AKASHIあかし」

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