トロントのAGOで「The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art(印象派革命:モネからマティスまで)」開催中
Art Gallery Of Ontario (AGO)で7月7日~10月18日まで

The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art at AGO の展示場内。
トロントのダウンタウンにあるAGO(Art Gallery of Ontario )で7月7日から、「The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art(印象派革命:モネからマティスまで)」が開始しました。今回は一般公開に先駆けて展示におじゃまして来たので、早速どのような展示かをレポートしたいと思います。
「The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art(印象派革命:モネからマティスまで)」
本展は、印象派の作品群を「革命」という視点から見直してゆく展示です。風景画や都市生活、静物画を実験的な技法で描いた彼らは、新たな潮流を生み出し、次世代の芸術家たちに計り知れない影響を与えました。そして、その革新的な精神と後世への影響をたどることで、柔らかな色合いの多い作品群が秘める、より深く力強い魅力を明らかにしてゆきます。
カナダ初公開となる本展は、ダラス美術館の常設コレクションから選りすぐった作品で構成された、印象派の大規模回顧展です。クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、カミーユ・ピサロ、エドガー・ドガ、ベルト・モリゾ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーギャン、アンリ・マティス、エドヴァルド・ムンクをはじめとする巨匠たちの作品が展示されています。
企画はDallas Museum of Artの主任学芸・研究責任者であり、ヨーロッパ美術担当上席キュレーターであるニコール・R・マイヤーズ博士。AGOでの展示は、AGOヨーロッパ美術担当キュレーターのキャロライン・シールズ博士が担当。
年代順、テーマ別に5つのセクションで構成
展覧会は年代順およびテーマ別の5つのセクションで構成され、展示される約50点の作品を通して、これらの革新的な芸術家たちの技法や主題が、19世紀後半から20世紀初頭にかけて近代美術の新たな方向性を切り開いたことを紹介しています。
モネやルノワール、ピサロが切り開いた、印象派による光と色彩の探究は、その後、スーラやシニャックら新印象派による科学的な色彩表現、さらにゴッホやゴーギャンらポスト印象派による個性的で内面的な表現へと発展しました。 そしてその流れは、マティスやムンクら20世紀初頭の画家たちによる、色彩や感情を重視した新たな表現へとつながっていきます。
本展は、その流れを順に見ることができる見応えのある展示です。モネの『睡蓮』はもちろん、シニャックやモリゾなど色合いの美しい作品も多いので、開催中は何度も足を運んで癒されて来ようと思います。

The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art at AGO の展示場内。新印象派の作品にも注目。
展示の最初のセクションでは、来場者は印象派誕生の時代へと誘われ、創設メンバーたちをより詳しく知ることができます。
国営の美術展「サロン」が美術界の中心的存在だった19世紀のパリでは、古典的で洗練された画風が正当な美術とされていました。そのため、作品が酷評され出品を拒否された印象派の画家たちは、独自に集まり展覧会を開催、作品を発表する場を設けました。彼らの作品は、それまで「正統な美術」とされていたものとは大きく異なっており、従来の芸術界の価値観に挑み、日常の風景や街の活気に目を向け、身近な情景を描き出しました。
作品は、自然の一瞬の表情であれ、街の喧騒であれ、彼らの筆は光や空気、そして人や風景の動きや息づかいを生き生きと描き出しています。展示では、そうした時代の革新や新たな表現への挑戦を物語る作品が紹介されています。
続いてのセクションでは、印象派の画家たちが採用した、従来の常識にとらわれない制作手法も見ることができます。
印象派の画家たちは、細かな筆触を重ねることで風景を描き出し、風や天候、そして時間の移ろいまでも感じさせる表現を生み出しました。このセクションでは、印象派、そしてその後に続いた新印象派の画家たちが、風景画をどのように革新していったのかを紹介します。
本展では、モネの『睡蓮』シリーズから2点が、専用の展示室で紹介されています。モネは生涯で250点を超える『睡蓮』の作品を描いたとされており、このシリーズは彼の芸術を象徴する代表作となっています。またモネが庭園で絵を描く様子を撮影した、貴重な映像も上映されているのでお見逃しなく!


The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art at AGO の展示場内。モネの『睡蓮』の部屋では、その色彩に引き込まれ、とても癒されました。
新印象派のセクションも見どころの一つです。ジョルジュ・スーラやポール・シニャックによる点描画が展示され、彼らが追及した表現方法にも注目します。無数の小さな点が色彩理論に基づく緻密な調和を生み出し、光や空気の揺らぎまで感じさせる作品の数々は、芸術家たちが目指した新たな視覚体験を楽しむことができます。
展覧会の締めくくりとなる最後のセクションでは、印象派がその後に続く芸術家たちに与えた影響を紹介します。「ポスト印象派」と総称される彼らは、象徴的な主題、より鮮やかな色彩、そして誇張された形態を好みました。さらに、キュビスム、フォーヴィスム、表現主義、未来派、抽象芸術をはじめ、その後に続くほぼすべての近代美術運動は、印象派が伝統的なアカデミズムの価値観を覆したことにその源流を見いだすことができます。
モネの『睡蓮』をはじめ、シニャックやルノワールなど、たくさんの魅力的な作品が並んでいます。トロントのダウンタウンへお出かけの際は、ぜひ足を運んでみてください。お気に入りの一枚に出会えるかもしれません。
「印象派革命:モネからマティスまで」は、AGO(オンタリオ美術館)の4階で開催されています。
関連イベント
AGO Summer Maker Days: Impressionist Still Lifes
夏の期間中に開催される「サマー・メイカー・デイズ」では、さまざまなレベルのアーティストが集まり、作品づくりを楽しむことができます。
毎回、本展で紹介されている作品から着想を得たテーマの物を制作。イベント参加費は無料ですが、ギャラリー入場料は必要です。
Impressionists Afternoon Tea at The AGO Bistro)」
本展の色彩や作品からインスピレーションを受けたアフタヌーンティーです。
スコーン、ペイストリー、軽食とティーで、絵画の中の庭園でお茶をしている気分に。
一人=$80.00、10歳以下=$37.50
The Impressionist Revolution: Monet to Matisse from the Dallas Museum of Art
場所:Art Gallery of Ontario (AGO)317 Dundas Street West Toronto
開催期間:7月7日~10月18日まで
入場料:一般(18歳以上)=$30.00 、18歳~24歳=9月7日まで$15.00。以降は $30、17歳以下=9月7日までCanada Strong Passで 無料 、以降は$15.00。
オンタリオ在住の25歳以下は入場料が無料になる年間パスもあります。詳細はギャラリーまで。
毎月第1水曜日の夜は、AGOへの入場が無料になります。入場にはAGO公式サイトから事前申し込みが必要です!
チケットの購入、開館スケジュール等はAGO公式サイトをご覧ください。



