バンクーバー国際映画祭(VIFF)で「西海楽園」上映
鶴岡慧子監督インタビュー

Saikai Paradise / Courtesy of VIFF
バンクーバー国際映画祭(VIFF)で10月9日と11日、鶴岡慧子監督の「西海楽園(英語題;Saikai Paradise)」を上映する。鶴岡監督が上映に先立ち取材に応じ作品やバンクーバー国際映画祭への思いを語った。
あらすじ: 俳優としてのキャリアに行き詰まった一成は、友人の上原を連れて、長崎県の西海市に帰郷する。彼を迎えたのは、小さな豆腐店を営む家族と、懐かしい顔ぶれによる温かな歓迎だった。失敗の痛みを拭いきれない一成が、故郷の街とあらためて向き合う数日間を描いた物語。出演は柳谷一成さん、木下美咲さん、柳谷さんの実際の家族や友人たち。
鶴岡監督のバンクーバー国際映画祭への出品は、2013年の「はつ恋」、2023年の「バカ塗りの娘」に続き3度目となる。「『はつ恋』を作ったときはまだ学生でした。12年が経ち、当時出演していた柳谷一成さんと共にまた戻って来られるのは、本当に嬉しいことだと思います」と感慨深げに語る。「映画祭の関係者の中には、最初の作品のことを覚えてくださる方もいて、ずっと温かく見守っていただいていると感じます」と感謝も話す。
東京芸術大学大学院映像研究科を卒業後も順調にキャリアを重ね、堀田真由さん、小林薫さんらが出演した「バカ塗りの娘」(2023年)は世界各地の映画祭で上映、鶴岡監督も文化庁が主催する芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど高い評価を受けた。

Saikai Paradise/ Courtesy of VIFF
今回の「西海楽園」は一か月ほど西海市に滞在して撮影。鶴岡監督が脚本、撮影、編集も手がけ、ごく少人数のスタッフで制作された。出演者は柳谷一成さんと木下美咲さんを除き、演技は未経験の一般の人々。「大きな作品にも参加させていただいた今、この作品を仲間たちと作るということは、自分にとって原点に立ち返るような、すごく意味のある経験でした」と制作を振り返る。さらに、「やる事が多くて大変ではあったのですが、本当に楽しく取り組めました」と笑顔で充実していた様子も。
「柳谷さんから、故郷の西海で映画を撮りたいと聞いたことから今回の作品が始まりました」と語る鶴岡監督。東京で暮らす主人公が、地元の変わらないもの、変わってゆくものの両方に触れながら、自分を見つめ直す。映像は西海の海や山、人々の平凡な暮らしと日常の会話を、優しいまなざしで丁寧に映し出している。
出演しているのは、柳谷さんと木下美咲さんを除き、柳谷さんの実際の家族や友人たち。豆腐屋を営む柳谷さんの家族や、100歳になる祖父、友人らが出演し自然な会話を重ねる中で、時にドキュメンタリーを見ているかの様な場面も生まれている。鶴岡監督は「家族や友人関係がかもし出す雰囲気をそのまま撮りたかったので、皆さんには暮らしの延長線上で、とお願いしました」と語る。また海や山の美しさも印象的な映像は「出演してくれた皆さんと同じくらい、西海もいろいろな表情を見せてくれました」と街をたたえる。
タイトルにもなった『西海楽園』は、バブルの頃に作られ現在は閉演している仏教のテーマパーク。「仏像がたくさんある閉園したテーマパークと知り、映像的にも面白いし、地方都市を題材にした作品として取り入れたいと思いました」と鶴岡監督が話す通り、時間が止まってしまったかの様な佇まいの楽園跡地は作品に効果的に哀愁を添えている。
鶴岡監督は「地元を出ている人やずっと頑張ってきた人が、立ち止まって自分を見つめ直すきっかけにもなれば嬉しいですね」と期待する。

「西海楽園(Saikai Paradise)」鶴岡慧子監督 Photo Courtesy of VIFF
「西海楽園(Saikai Paradise)」上映スケジュール
10月9日 6:15 pm Granville Island Stage
10月11日3:30 pm International Village 8
11日は鶴岡監督と出演俳優の登壇を予定する



