ビル・リード・ギャラリーで「Every River Has a Mouth」
沿岸および内陸セイリッシュ美術の豊かさを称える
2026年2月14日から2027年2月14日まで

バンクーバーのダウンタウンにあるビル・リード・ギャラリー(Bill Reid Gallery of Northwest Coast Art )で2月14日、スヌネイムウ族のアーティスト、エリオット・ホワイト=ヒル(クワラスルトゥン)さんをゲスト・キュレーターに迎えた初の展示「Every River Has a Mouth」が開始した。2027年2月14日まで。
川を物理的かつ象徴的な「つなぎ手」として捉える概念に導かれた本展「Every River Has a Mouth」は、内陸部と沿岸部のセイリッシュ諸民族のあいだにある深い文化的・言語的・芸術的な結びつきに光を当てる。本展では、彫刻、ジュエリー、テキスタイル、絵画、ミックスメディアなど多様な分野で活動する11名のセイリッシュアーティストを紹介。第一線で活躍するセイリッシュのアーティスト、スーザン・ポイントやアンジェラ・ジョージなど、実績ある作家から新進気鋭のアーティストまでの作品を紹介する。
ゲスト・キュレーターのエリオット・ホワイト=ヒル(クワラスルトゥン)さんは、「『Every River Has a Mouth』は、ギャラリーが位置するこの土地の人々と文化に焦点を当てる展示です。セイリッシュのアーティストたちのためのプラットフォームを創出し、これらの物語を共有することで、まさに今この瞬間に起きているセイリッシュ芸術にも光を当てることができます」と述べる。
フレーザー川流域に生きる人々のアイデンティティと進化する文化を探求し、内陸部と沿岸部のセイリッシュ諸民族のあいだにある深い文化的・言語的・芸術的な結びつきに光を当てる。
セイリッシュ芸術に光を当てる展示
歴史的に、セイリッシュ芸術は、ハイダやトリンギットなど北方先住民の芸術様式と比較され、周縁化され見過ごされてきた。精緻な彫刻やトーテムポールで知られるハイダやトリンギットの様式は、今日でも多くの人々が「先住民芸術」として連想する代表的なイメージとなっている。
セイリッシュ芸術は、フランツ・ボアズが1897年に著した『The Decorative Art of the Indians of the North Pacific Coast』においても、未発達で原始的であると誤って位置づけられていた。伝統的なコースト・セイリッシュ芸術が正当な評価を受け始めたのは1960〜70年代になってからで、スーザン・ポイント、スタン・グリーン、サイモン・チャーリー、チャールズ・エリオット、そしてサリッシュ・ウィーバーズ・ギルドなど、先駆的なセイリッシュ作家たちの活動によるものだった。
ギャラリー広報は「これまでは沿岸セイリッシュの芸術が中心に据えられてきましたが、本展覧会は視野を広げ、内陸セイリッシュと沿岸セイリッシュのコミュニティ間にある重要な相互連関性を前面に打ち出しています。そうすることで、北西海岸美術史全体の中でセイリッシュ美術が歴史的に周縁化されてきた状況に異議を唱えているのです」と展示の意義を説明する。
「私は常に、内陸と沿岸のセイリッシュ文化を単純化してしまう見方に抗い、その複雑さをこそ称えたいと考えています。教えを通して学んだこと、そして私たちの伝統的な芸術と言語について知っていることから明らかなのは、私たちが実に多くのものを共有しているということです。だからこそ、違いと同時に、共有しているものも尊重し祝福したいのです」とホワイト=ヒルさんは話す。
『Every River Has a Mouth』という展示タイトルについて
キュレーションの構想の中心にあるのは「川」である。川は生きた存在であると同時に、土地や水、アイデンティティ、そして変化し続ける文化を結びつける力強いメタファーでもある。
また、あらゆる川の終着点—より大きな水域へと流れ込む場所—が「河口(mouth)」と呼ばれるように、沿岸および内陸の人びとにとってフレーザー川は地理的な「口」であると同時に、芸術・文化・言語を共有する領域を結ぶ役割を果たしている。展示タイトルはそんな思いを込めてつけられた。

参加アーティスト:
アンジェラ・ポール、ダニエル・モルセット、グレース・エドワーズ、ジェームズ・ハリー、ライザ・マーストン、マヌエル・アクセル・ストレイン、オーシャン・ハイランド、ペイジ・ペティボン、スーザン・ポイント、シドニー・パスカル、テイラー・バプティスト。
「この展覧会を通して、若い世代のセイリッシュのアーティストたちが、自分たちの物語には意味があり、語る価値があるのだと感じてくれることを願っています。そして、伝統の言語を保ちながらも新しいスタイルのアートを生み出すことは素晴らしいことだし、自分に語りかけてくる表現媒体こそが、その物語が語られるべき方法なのだと知ってほしいのです。」(ホワイト=ヒルさん)
本展の見どころは、父娘デュオのルーク&ライザ・マーストンによる全長21フィートのカヌー、スーザン・ポイントによるオリジナルデザインのジャケットやメープル材のモノプリント作品、そしてシドニー・パスカルによるインスタレーション作品《t̓iq i sts̓úqwaoz̓a | the salmon have arrived(サケがやってきた)》など。


(左)作品の説明をするキュレーターのホワイト=ヒルさん。(右)左からアーティストのペイジ・ペティボンさん、ホワイト=ヒルさん、シドニー・パスカルさん
この作品では、なめした魚皮を壁一面に配し、食料源としてのサケの重要性や、産卵のために戻ってきたサケで川があふれていた記憶を想起させています。
ビル・リード・ギャラリーでは、同展示に関連した一連のパブリック・プログラムを開催するほか、2026年春〜夏には展覧会カタログの刊行を予定している。イベントの詳細はBill Reid Gallery公式サイトを参照のこと。
Bill Reid Gallery
639 Hornby St. Vancouver
開館時間 火曜~土曜 10:00 am – 5:00 pm
入館料 大人$15 、シニア(65歳以上)、$12、学生(IDが必要) $10 、ユース(13歳~17歳)$8、12歳以下は無料。毎月第一金曜日の2:00 pm – 5:00 pmは無料。
スケジュール、展示の詳細はBill Reid Gallery公式サイトを参照のこと。
「Every River Has a Mouth」は、バンクーバー・フレーザー港湾局(Port of Vancouver を代表)の支援により開催。
ビル・リード・ギャラリーについて(billreidgallery.ca)
ビル・リード・ギャラリー(Bill Reid Gallery of Northwest Coast Art)は、バンクーバー中心部に位置する公共ギャラリーです。その名称は、金細工師、彫刻家、作家、放送作家、そして先住民文化の代弁者として知られた、ハイダ族の芸術家ビル・リード(1920–1998)にちなんでいます。
2008年5月の開館以来、同館はカナダで唯一、北西海岸の現代先住民芸術に特化した公共ギャラリーとして活動を続けており、サイモンフレーザー大学ビル・リード・アート・コレクションを所蔵するとともに、北米北西海岸地域の現代先住民芸術の特別展を開催しています。今なお新進・中堅の先住民アーティストに影響を与え続けているビル・リードの功績には、ハイダの芸術伝統に現代的表現を融合させたこと、次世代アーティストに影響を与えたこと、そしてファースト・ネーションと他の人々との永続的な架け橋を築いたことが含まれます。
同ギャラリーでは、アーティスト・トークやアーティスト主導のワークショップなどのパブリック・プログラムも実施し、先住民の価値観や文化への理解と appreciation(理解・尊重)を深める機会を提供しています。



