D.H.ローレンス原作『The Fox』がオペラに バンクーバーで世界初演

D.H.ローレンス原作『狐』がオペラに バンクーバーで世界初演へ

Opera Unbound The Fox Photo by Jessica Wynn Cole

  カナダ・バンクーバーを拠点とするオペラ団体Opera Unboundが、新作室内オペラ『The Fox』の世界初演を2026年4月17日から19日まで上演する。会場はダウンタウンのANNEX(823 Seymour Street, Vancouver )。

 イギリスの作家D.H.ローレンスによる1922年の中編小説『The Fox(狐)』を原作に、現代的な視点で再構築した本作。バンクーバー出身の作曲家ロアン・シャンカルクさんが手がけた初の長編室内オペラであり、音楽・演出ともに従来のオペラの枠にとらわれない意欲作となっている。幽玄で映画的な音楽と、緊張感あふれる心理描写が融合し、観客に強烈な印象を残す作品として期待が高まっている。

 「『狐』を読んですぐにインスピレーションを受けました」と語るシャンカルクさん。「100年以上前に書かれた作品でありながら、権力や転覆といったテーマは現代社会においても非常に重要で共感を呼ぶものです。また、夢のように幻想的でスリリングな物語は、オペラの舞台にぴったりだと感じました。さらに、多様なセクシュアリティの表現にも惹かれました。これはオペラではまだ珍しい要素であり、完全舞台版でこのテーマを探求できることに大きな魅力を感じました。」

The Fox_Photo-by Jessica Wynn Cole
The Fox_Photo-by Jessica Wynn Cole

 物語の舞台は第一次世界大戦下のイギリス。孤立した養鶏場を営むネリー・マーチとジル・バンフォードは、ビジネスパートナーであると同時に、密かな恋愛関係にある。しかし、農場を荒らすキツネの存在に悩まされる中、若く魅力的な兵士ヘンリー・グレンフェルが現れたことで、3人の関係性は大きく揺らぎ始める。権力、欲望、そしてセクシュアリティが交錯する心理劇として、現代にも通じるテーマを鋭く描き出す。

 ヘンリー役をテノールのクリス・ドンレヴィさんが務め、ジル役はメゾソプラノのレネ・ファハルドさんと作曲家本人であるシャンカルクさんが交代で演じる。ネリー役にはメゾソプラノのタリン・プレイターさんが出演。音楽監督・指揮はペリー・ローさんが担当し、ヴァイオリンとチェロによる編成で緻密な音世界を構築する。

 本作はもともとマニトバ大学の支援プロジェクトのもとで制作され、パンデミック期にはコンサート形式で試演された。その後、Opera Unboundが完全舞台版としての上演を企画し、今回の世界初演に至ったという。

 ジャンル横断的な表現を追求するOpera Unboundにとっても、今回が初のフルレングス作品の上演。現代オペラの新たな可能性を提示する舞台として注目される公演となりそうだ。

上演日:2026年4月 17 & 18日  7:30pm ・ 4月 19日 2:30pm

会場:ANNEX (823 Seymour Street. Vancouver)

チケット:$40.00

チケット情報や詳細はOpera Unbound公式サイトをご覧ください

Opera Unbound(operaunbound.com)
オペラ創作の境界を押し広げることを使命とする団体。ジャンルや媒体を超えた協働を基盤に、独自の芸術体験を創出しています。オペラをより身近で親しみやすく、現代的なものにすることを目指し、グレーターバンクーバーのアーティストと連携して、ワークショップやホームコンサートから大規模な初演作品まで、幅広いプロジェクトを展開しています。

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