バンクーバー・アジア映画祭で『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』(高畠晶監督)上映
日系カナダ人アーティスト、ノーマン・タケウチさんの歩みを描くドキュメンタリー
戦後失った日系人としてのアイデンティティを、アートを通して取り戻していく歩み―バンクーバーアジア映画で11月7日上映

『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』から
11月5日から15日まで開催するバンクーバー・アジア映画祭(Vancouver Asian Film Festival)で11月7日、トロント在住の高畠晶監督によるドキュメンタリー映画『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』が上映される。会場はCineplex Odeon International Villageで2:00 pm から。
同作品は、オタワ在住の日系カナダ人二世のアーティスト、ノーマン・タケウチ氏を取り上げた短編ドキュメンタリー。戦時中の日系カナダ人としての体験と自身のルーツに向き合いながら、アートを通して日系人としてのアイデンティティを取り戻していく歩みを描く。
日系カナダ人アーティスト、ノーマン・タケウチ氏の歩み
第二次世界大戦中、カナダ政府の政策によって、家族とともに内陸部へ強制移住させられたタケウチ氏。戦後はデザイナーとして、1967年のモントリオール万博と1970年の大阪万博でカナダ館のデザインに携わった。その後もカナダ国立博物館に勤務するなど、着実にキャリアを重ねてきた。しかし、60歳近くになるまで、自身の日系人としてのルーツと向き合うことを避け続けていた。

『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』から
アート制作を通して向き合う日系カナダ人の歴史とルーツ
しかし、ある出来事をきっかけに自身が日系人であることを受け入れ、作品にも日本をモチーフとして取り入れるようになった。映画は、タケウチ氏が日系人に対する差別によって受けたトラウマを力強いアートへと昇華させていく過程を、日系カナダ人の歴史を交えながら描く。「日本人としての自意識や感情に向き合ったからです」と作中で語るタケウチ氏。その後、収容時代の日系カナダ人と日本の伝統文化のイメージを組み合わせた作品などを発表。その功績から、2023年にはカナダ政府からカナダ勲章(Officer of the Order of Canada)を、日本政府からは2026年に旭日章を授与された。
高畠監督は、「日系カナダ人であるタケウチさんが、日系人であることに向き合いたくないと感じていた気持ちは、他の多くの日系カナダ人の方々にも共通するものだったのではないかと思われます。戦後のカナダ生まれの方々の中には、親とも日本語を話さずに育った方や、自分が日本人であることを隠しはしないものの、あまり目立たせないように暮らしてきた方もいたと聞きました」と、強制移住から解放された後も、何年にもわたって日系コミュニティーが抱えていた心の傷について語る。

『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』から
高畠晶監督が語る映画制作のきっかけ
「オタワに行った際に、たまたまタケウチさんの回顧展が開催されており、タケウチさんご夫妻とお話する機会がありました。その後、タケウチさんが歩んでこられた日系カナダ人アーティストとしての道のりを知るうちに、たくさんの方に知っていただきたいと思い映画化することを希望しました」と、ドキュメンタリー制作のきっかけを話す。
今作は高畠監督の初監督作品。「最初はプロデューサーとして企画した作品でしたが、監督が見つからないまま撮影が始まってしまい、そのまま監督も兼ねることになりました」と制作を振り返る。「資金集め、撮影や編集など知らないことだらけで全てが大変でしたが、また機会があればやってみたい、というくらい達成感はありますね」と笑顔で振り返る。
6月にはブダペストのLa Femme International Film Festivalで世界初上映を迎え、9月に開催されたJapan Film Festival Los Angeles 2026 ではベスト・ドキュメンタリー賞を受賞した。今後は、バンクーバー・アジア映画祭のほか、セルビアやトルコの映画祭でも上映が決まっている。
「映画をきっかけに日系カナダ人の歴史について知ってほしい」
映画を観る人に向けて、「日系カナダ人の歴史を知らない日本人の方もまだまだたくさんいると思うので、この映画をきっかけに、その歴史や戦時中の強制収容などの背景に関心を持ってもらえればと思います。そして、竹内さんの経験を通して、戦争が戦後もずっと普通の人々に及ぼす影響を考え、今、世界各地の紛争地で大変な思いをしている人たちにも思いをはせてみてほしい」と期待を寄せる。
『Shapes in Between: Norman Takeuchi’s Journey』at Vancouver Asian Film Festival (VAFF)
上映日:2026年11月7日 2:00 pm
Program #6 DOCUMENTARY SHORTS – West Coast Tales+ で他5作品と共に上映されます。
チケット:一般=$15、シニア・学生=$12
スケジュール、上映作品、チケットの購入は、映画祭(VAFF)の公式サイトをご確認ください。



