UBC人類学博物館で古代アンデスの宇宙観に迫る展示開始

UBC人類学博物館、古代アンデスの宇宙観に迫る「トゥパナンチスカマ:古代アンデスのコスモビジョン」展を開催

Fox vessel. Vessel. Peru: Ica, Nasca, 100 B.C.E.-800 C.E. MOA Collections 2990/113. Photo by Joshua Doherty/ MOA

 バンクーバーのUBC人類学博物館(MOA)は3月19日から2027年1月3日まで、世界初公開となる展覧会「トゥパナンチスカマ:古代アンデスのコスモビジョン(Tupananchiskama: Ancient Andean Cosmovision)」を開催する。

 本展は、UBC人類学部非常勤教授のルイス・マヌエル・ゴンサレスさんをゲストキュレーターに迎え、MOAが所蔵する古代アンデスの遺物コレクションを通して、アンデス先住民文化における「コスモビジョン(宇宙観)」を紹介するもの。英語とスペイン語の二言語で構成され、来館者は約100点の遺物を通して、宇宙と人間、生命と死の関係を包括的に捉えるアンデスの世界観を体感できる。

 陶器、織物、骨、貝殻、木材など多様な素材からなる展示作品。中には2,500年以上前に制作されたものも含まれ、アンデス地域の沿岸部や高地など異なる地域、さらに狩猟採集社会からインカ帝国に至るまでの幅広い時代の文化を紹介する。特に、ペルー北部沿岸のモチェ文化や南部沿岸のナスカ文化による陶器作品が多数展示される。

Shrimp bowl. Bowl. Peru: Ica, Nasca. 100 B.C.E.-800 C.E. MOA Collections 2990/180. Photo by Joshua Doherty/ MOA

 展覧会タイトルの「トゥパナンチスカマ」は、アンデス先住民の言語ケチュア語の言葉で、「再び命が私たちを引き合わせる日まで」という意味を持つ。アンデス文化では、生命と死は連続する循環の中で世界に共存するものとして理解されてきた。本展ではこうした思想を、象徴や儀礼、芸術表現を通して紹介する。

 ゴンサレスさんは、「トゥパナンチスカマには円環的な象徴性が豊かに含まれています。別れの挨拶でありながら、再びその人や存在に会えるという確信が込められています」と展示タイトルを説明。「私はこの同じ感覚を展覧会そのものにももたらしたいと思っています。ペルー出身の私にとって、この古代の遺物と向き合うことはトゥパナンチスカマの約束を実践することでした。祖先と再会し、このコレクションのキュレーションを通して彼らの生きた経験を再び息づかせることです」とも。

 「この展覧会は、来館者に自らの祖先の教えについても振り返る機会を提供するでしょう。分断され、めまぐるしい現代社会において、私たちが切実に必要としている希望、美しさ、そして静けさが、このような過去とのつながりの中にあると私は信じています。」(ゴンザレスさん)

MOA Tupananchiskama

Hummingbird bottle. Bottle. Peru: Ica. Early Nasca, 100 B.C.E.-400 C.E. MOA Collections 2990/250. Photo by Joshua Doherty/ MOA

 展示では、南十字星を象徴する幾何学的モチーフ「チャカナ(Chakana)」や、創造と宇宙秩序を象徴する神格「スタッフ・ゴッド(Staff God)」など、アンデス文化に共通して見られる象徴にも注目。文明ごとに異なる表現を持ちながらも、世代を超えて受け継がれてきた知識や信仰のつながりを読み解く。

 古代の管楽器も多数展示。巻貝から作られたトランペット、パンパイプ、オカリナなどが紹介される。アンデス宇宙観では「風」は物質世界と霊的世界を結びつける力と考えられ、古代の儀礼では空間の浄化や霊的存在への呼びかけのために用いられていた。

 さらに、現代ペルーのアーティスト、ミゲル・アラオス・カルタヘナによる天の川を描いた油彩画をもとにしたアニメーション映像も展示される。これはインカが信じていた「二重の星座体系」を紹介するもので、星の集まりから形を見出す「光の星座」に加え、天の川の暗い部分の影から形を読み取る「暗黒星座」という独自の宇宙観を視覚的に表現する。

 本展は、アメリカの美術史家・キュレーター・コレクターであるアラン・R・ソーヤー氏がMOAに寄贈したコレクションを基に構成。MOAのアフリカ・南アメリカ担当キュレーターでありUBC美術史・視覚芸術・理論学科准教授のヌーノ・ポルトがキュラトリアル・リエゾンを務める。

 なお、展覧会の開幕日である2026年3月19日(木)には、午後6時から9時までオープニングイベントを開催、入館料も無料となる。

チケットの購入、詳細はMOA公式サイトを参照のこと。

会場: Museum of Anthropology University of British Columbia (MOA) UBC人類学博物館

住所: 6393 NW Marine Drive, Vancouver, BC

開催期間:2026年3月19日~2027年1月3日

入館料:一般$26 学生(19歳以上、IDの提示が必要)・シニア$23 ユース(6歳~18歳)$13 ***木曜日の5:00 pm 以降は半額。

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